- 上段を始めてみたいけど、どうやって始めたらいいかわからない。
- 先生に上段をすすめられたけど、自分って上段に向いているのかな?
- 上段の技について知りたい。
このようなお悩みをお持ちではありませんか。
今回の記事では、上段の始め方や技について徹底解説します。
30年間剣道を続ける中で、たくさんの上段剣士と出会いました。
中には、同じチームで一から上段を始める仲間もいて、一緒に成長することもできました。
上段を始めてから試合で勝てるようになるまでを間近で見てきたので、上段を始めたい人には参考となる内容です。
- 上段の基礎知識
- 上段に向いている人
- 上段を始めるメリット
- 上段の始め方
- 上段の技
ぜひ、最後まで読んでください。
上段とは
上段とは、竹刀を頭の上で振りかぶった状態の構えのことをいいます。

「火の構え」とも呼ばれ、攻撃的な構えです。
上段の構え方には
- 左諸手上段〜左足が前
- 右諸手上段〜右足が前
の2種類があります。
一般的に上段の構えといえば、左諸手上段のことをいいます。
上段での試合
上段の構えで試合ができるようになるのは、高校生からです。
(公財)日本中学校体育連盟剣道競技部の申し合わせ事項において
- 上段の構えはとらせない
と明確に示されているため、中学生の試合では上段の構えで試合に出場することはできません。
引用:全国中学校体育大会剣道競技 令和7年度日本中学校体育連盟競技部申し合わせ事項一部抜粋
小学生も同様です。
全国道場少年剣道大会では、参加上の注意として、上段の構えは(公財)日本中学校体育連盟剣道部申し合わせ事項に準じ禁止すると記載されています。
このように中学生・小学生は上段の構えで試合に出場することが禁止されているのです。
上段を始める場合は、中学生まで中段の構えで剣道の基本を身につけ、高校生になってから取り組むようにしましょう。
上段に向いている人

上段はこれまで中段として積み重ねてきた経験を活かしながら、新しい技術を身につける必要があります。
どのような人が上段に向いているのかをみていきましょう。
器用な人
上段は、中学生まで行ってきた中段とは別の動きをしなければいけません。
中段からは、
- 構え:振りかぶる状態の上段の構え
- 構えの足:右足前→左足前
- 踏み込み:右足での踏み込み→左足での踏み込み
- 打突:両手で打突→片手で打突
へと大きく変わります。
そのため、動作の変化に対応できる器用さが大切になってくるのです。
大半は、これまで培ってきた中段での動きと努力によってカバーはできますが、高校生活の3年間で上段を身につけることを考えると器用な人が向いていると言えます。
継続して努力ができる人
上段に限ったことではありませんが、上段の場合は特に努力が必要になります。
中段は、中学生までに身につけた両手で竹刀を振り右足で踏み込む動作が変わることはありません。
しかし、上段は中段の時と違う動きをしなければならないのです。
上段の動作を身につけるために継続的な努力と反復練習が必要になってきます。
度胸がある人
上段の構えは、攻撃的な構えで面以外の打突部位をさらけ出した状態です。
相手が向かってくるのに対して、それ以上の気合や気迫が必要になるため、相応の度胸が必要になってきます。
時には突いてくる相手に向かって打突していく場面もあり、しっかりと腹を据えておかなければいけません。
上段を始めるメリット

これまで中段で剣道を続けてきた人が上段を始めるメリットは何でしょうか。
上段を始めるメリットを解説します。
- 中段の時よりも試合で勝てるようになる
- 中段の時とは違う感覚で剣道が楽しめる
中段のときよりも試合で勝てるようになる
上段を始めると、中段の時には試合であまり勝てなかったのに勝てるようになるということがよくあります。
これは中段で試合に勝てなかった選手が上段にする傾向があるという理由もありますが、中段と上段では試合の展開が大きく異なるのです。
中段対上段では攻め方や試合の組み立て方が大きく変わり、上段が苦手という選手が多数いるため、試合で勝てる人が増えるのだと思います。
また、上段の方が自分の身長や体格の強みを活かせる選手もいるので、中段では試合で勝てなかった選手でも上段になると試合で勝てるようになったりします。
中段の時とは違う感覚で剣道が楽しめる
上段は中段での剣道に加え、動作や技の幅が増えるため、今まで積み重ねてきたものにプラスして剣道をさらに楽しむことができます。
動作や技以外でも、間合いや目付けも変わるため、新しい発見があることでしょう。
上段の構えによって、中段に対する剣道の考え方も良い方向へ変化することは間違いありません。
上段の始め方

上段を始める一番簡単な方法は
- 上段の人に直接教えてもらうこと
です。
しかし、身近に上段をしている先生や先輩がいなければ、教えてもらえる機会はありません。
ここでは、上段を直接教えてもらえない人がどのようにして上段を始めるとよいのかを解説していきます。
構えを定める
まずは、上段の構えをしっかりと定めることです。
中段でもそうですが、剣道は構えがとても大事になってきます。
特に
- 左手の位置ーひたいの左前ひと握り
- 竹刀の角度ー剣先45度上方
- 右足と左足の位置ー左足前、自然体
を意識しながら正しい構えを身につけてください。
足さばきを身につける
構えをしっかりと定めたら、次に足さばきを身につけましょう。
左足を前・右足を後ろに構えてから、前後左右スムーズに動けるよう足さばきの稽古をおこないます。
最初は違和感を感じますが、何度も繰り返し稽古をすることで少しずつ慣れていきます。
中段でも上段でも足さばきの重要性は変わりませんので、徹底的に足さばきの稽古をおこないましょう。
片手で打突できるように素振りを行う
上段の最大の武器は、何と言っても片手技です。
片手で打突ができるように素振りを行っていきます。
片手で打突するため上半身に意識がいきがちですが、素振りをする際にはしっかりと足を使うことを意識しましょう。
面・小手を片手で1本にできるよう、徹底的に竹刀を振り込んでいくことが大切です。
左足で踏み込みながら打突する
上段の構えから左足で踏み込み、片手で面や小手を打突していきます。
竹刀の振りや左足の踏み込みはもちろん、体の重心の位置や打突後の姿勢、右手の位置など1本に必要な体の動きを意識しながら行ってください。
何度も同じ動きを繰り返して、1本になる打突を身につけましょう。
- 構え
- 足さばき
- 片手での素振り
- 左足の踏み込み
上段を始める時には、この4つのポイントを意識して行ってみてください。
上段の技

上段の選手が主に1本にしている技を紹介します。
上段の選手が1本にしている技
上段の選手が1本にしている技をしかけ技と応じ技に分けて説明します。
しかけ技
上段の選手が自ら積極的にしかけていく技です。
片手面
上段の選手が1本にする技の中で最も多いのが片手面です。
上段の構えの状態から勢いよく振り下ろされる片手面は、上段の選手の大きな武器と言えます。
自ら攻めてしかける片手面もあれば、相手が小手や突きを狙ってくる瞬間に合わせて打突する片手面もあります。
片手小手
上段と対戦する選手は、中段の構えから小手を隠すように剣先を右に開いた平正眼(ひらせいがん)の構えをとることが多いです。
平正眼の構えから攻めてくる相手に対して、手元が上がる一瞬のタイミングを狙って小手に振り下ろします。
常に攻める気持ちを持って、相手にプレッシャーをかけていくことが大切です。
諸手小手
上段と対戦する選手は、上段からの片手面に対して返し技を狙っていたり、技をさばこうとしたりして大きく手元を上げることがよくあります。
その手元が上がったタイミングで、上段から諸手で小手を打突します。
諸手の小手打ちは、相手の防御姿勢に応じて小手を打つ角度を変えられるのがメリットです。
左胴(逆胴)
上段に対しては、三所避け(面・小手・右胴を隠す防御)の姿勢で片手面や片手小手を打たれないように対応する場合があります。
その場合には左胴を打突するのが有効になります。
片手面や片手小手を攻めてから相手の手元を浮かし、左胴を打つと1本になりやすいです。
応じ技
上段の選手が自ら攻める姿勢を保ちながら、相手がしかけてきた技に対して応じる技を出していきます。
小手抜き面
中段の選手は、上段の選手に1本を取る方法として左小手を狙うことが多いです。
上段の選手は、相手が左小手を狙ってくる瞬間に左手を抜いて面を打突します。
相手を上手に誘い、タイミングよく左手を抜けるかがポイントです。
小手返し面
右小手を打突してきた相手に有効な技になります。
左小手の場合と異なり、右小手を狙ってきた相手の打突を抜いて面を打つことは難しいです。
相手の打突に対して片手で合わせていく技も有効ですが、小手返し面で応じる技も1本になりやすいです。
面返し胴
上段が面返し胴の技を出すことは意外だと思う方もいるかもしれません。
中段の選手は上段の選手に対して、飛び込み面を打突していくことも多くあるのです。
左小手や右小手の打突と軌道が似ているため、応じにくいかもしれませんが技のレパートリーとして面返し胴が打てるようにしておくとよいでしょう。
上段に必要な稽古
上段から技を出して1本にするまでの稽古は、基本的に中段の時と変わりません。
こういうと元も子もないように感じてしまいますが、剣道で1本にするための技を身につけるのに地道な稽古以外に近道はないのです。
中段、上段にかかわらず
- 素振り
- 足さばき
- 切り返し
- 基本打ち
- 技の稽古
- かかり稽古
- 打ち込み稽古
を徹底的に行なっていくしかありません。
上段は中段と違い、すでに竹刀を頭の上で振りかぶった状態です。
この特徴を活かすためには、いかに速く竹刀を振り下ろせるかがポイントになってきます。
構えた状態から瞬時に竹刀を振り下ろして1本にできる打突を身につけていきましょう。
まとめ
今回は上段を始めたい人に向けて
- 上段の概要やメリット
- 上段の始め方や技
について解説しました。
上段を新しく始めるには、これまで中段として積み上げてきたものをベースにしつつ、新たに身につける技術がたくさんあります。
試合で勝てるようになるまでにたくさんの稽古を積み重ねていかなければいけません。
日頃の稽古を楽しみながら自己の鍛錬に励んでいきましょう。
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